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海外PROJECT | 水道・下水道

アゼルバイジャン共和国
地方都市上下水道整備計画
アゼルバイジャン共和国

アゼルバイジャン共和国 地方都市上下水道整備計画

担当プロジェクトマネージャー

N.T.

2005年入社 
TECインターナショナル 技術グループ 
技術グループマネージャー
(記事掲載時)
A.O.

Story of the Project
開発が進まない地方都市の上下水道

アゼルバイジャン共和国は、カスピ海と黒海に囲まれるコーカサス地方の南側に位置し、北海道とほぼ同じ国土面積に約1000万人が暮らす産油国です。旧ソビエト連邦から独立後は、原油の輸出により大きく経済が発展し、首都のバクーを中心に都市インフラ施設の近代化が進められました。その一方で、開発が遅れる地方都市の水道普及率は低く、施設の老朽化や自然災害により給水サービスの質が著しく悪化していました。さらに下水道は一部しか整備されておらず、汚水量の増加に伴う生活環境への影響も懸念されていました。

地方都市における上下水道施設の改善を国家の優先課題とするアゼルバイジャン共和国政府の要請を受け、日本は同国に対して円借款の供与を決定。TECインターナショナルがコンサルタントとして参加した「アゼルバイジャン共和国地方都市上下水道整備計画」が実施されました。

Story of the Project
5都市を対象とした大型プロジェクト

アゼルバイジャンの水道普及率は首都バクーでは95%と高い一方、地方都市の平均は33%程度と低く(2004年時点)、大半の都市で24時間給水が受けられない状態にありました。そのため、住民は給水時間外では地下水や河川水を利用するのですが、下水処理施設や管路が未整備の地域も多く、垂れ流しの下水が水源を汚染し衛生上の深刻な問題となっていました。

当プロジェクトは地方都市の水環境の改善、ひいては地域住民の衛生環境や居住環境の大幅な改善を目的とする上下水道整備事業で、5つの地方中核都市(グサール、ハチマズ、ヒジ、ゴブスタン、ナフタラン)を対象とした、円借款供与限度額328億円の大型プロジェクトです。2007年に案件発掘調査を実施してから、円借款契約(2009年)、コンサルタント契約(2010年)を経て、2020年の事業完成まで延べ14年にわたり取り組んだ、私のキャリアで最も長期のプロジェクトとなりました。

Story of the Project
設計と工事で大きな遅延が発生

当初、コンサルタント業務の契約期間は4年間でした。我々の見通しが甘かった面もありますが、設計と工事が大きく遅延したため、結局完了までに11年の年月をかけることになりました。設計段階では、現地の設計基準、水量計算、配置計画の条件などが何度も変更されて、最終の設計承認を受けるまでに多くの手戻りと追加コストの投入が必要となりました。工事では合計9契約の現場で施工監理を実施しましたが、施工業者の能力が低いことと、発注者都合の設計変更や用地問題による工事の中断などによって遅延が相次ぎました。

また、アゼルバイジャンは政府も施工業者も国際契約約款に基づく契約管理の経験に乏しく、問題があればコネと権威で解決するという文化が根強く残っていたため、契約書に基づく施工監理業務を実施するのに大変苦労しました。しかし、一貫してコンサルタントが公平な立場で契約管理を実践する姿勢を示し続けたことで、発注者と施工業者の信頼を少しずつ獲得し、プロジェクトの成功に向けた協力関係を築くことができました。

Story of the Project
発注者の利益を最優先に

約束したスケジュールと予算の遵守は我々の責務ではありましたが、度重なる遅延の発生は先の見通しを立てることを難しくしました。発注者からのプレッシャーも日々厳しくなり、私はプロジェクトマネージャーとして非常に困難な立場に立たされていました。その上、事業を継続するための追加費用の確保には、発注者に契約金の増額を承認してもらう必要がありました。交渉は長期に渡り、アゼルバイジャンの副首相をはじめとする政府要人のもとへ何度も足を運び、半年かけて変更契約の必要性を理解してもらいました。

本業務では、特に発注者利益を最優先に判断したことが成功のポイントになりました。自社の利益よりも発注者の利益を中心に行動することで、関係者の理解と協力を得やすくなり、円滑に事業を実施することができました。

Story of the Project
人口12万人の水供給と水環境を改善

本業務では最終的に、取水施設(伏流水、湧水、地下水)、浄水場(逆浸透膜、3,800m3/日)、水道配管(479.8㎞)、水道メータ(21,588個)、下水道配管(360.8㎞)、下水処理場(5処理場、長時間ばっ気活性汚泥法、合計26,850m3/日)、管理棟(5棟)を建設・設置しました。

この結果、計画給水人口126,485人(5都市計、2030年推計)の水需要量である29,642m3/日の水供給が可能となり、地方都市の水道普及率が大きく改善されました。また、新たに下水道配管・下水処理場を整備したことで、EUの水質基準を満たす処理水が放流されるようになり、地下水や河川水の汚染は解消し、水環境及び住民の生活環境が改善されました。さらに全顧客に水道メータを設置することで安定的に水道料金を徴収できるようになり、水道事業運営の持続性を高めることができました。

この経験を活かして今後もアゼルバイジャンの復興と発展に貢献したいと考えています。特に、長年アルメニアの占領下にあったナゴルノカラバフ地区が解放され、現在復興事業が進められているため、当社もインフラ整備事業を通じて関わっていきたいです。